日中医療交流事業における中国介護・看護人材紹介について
日本国内における介護・看護人材不足の背景
日本では、少子高齢化の進行により、医療・介護分野での人材不足が深刻化しています。特に、以下の要因により、介護・看護分野の人材確保が大きな課題となっています。
急速な高齢化
2025年には団塊の世代が75歳以上となり、「超高齢社会」が本格化します。介護サービスを必要とする高齢者の増加により、介護・看護人材の需要が急拡大しています。
国内労働人口の減少
少子化により生産年齢人口(15〜64歳)が減少し、医療・介護業界だけでなく、あらゆる業界で人手不足が問題となっています。
過酷な労働環境と離職率の高さ
介護職員の離職率は他の職種に比べて高く、特に若年層の定着率が低い傾向にあります。長時間労働、身体的負担の大きさ、賃金の低さなどが理由として挙げられます。
看護師不足の深刻化
高齢者の増加に伴い、病院や介護施設での看護師の役割が拡大していますが、新卒看護師の就業率や定着率が低いため、人材不足が解消されにくい状況が続いています。
これらの課題を解決するため、日本政府は外国人材の受け入れを推進しており、「特定技能」や「技能実習制度」などの制度を通じて、外国人の介護・看護人材の活用を促進しています。
本事業の意義
本協会の「日中医療交流事業」において、日本の医療機関や介護施設に中国の人材を紹介することは、以下の点で大きな意義を持ちます。
日本の人材不足解消に貢献
介護・看護分野の人材不足を補い、持続可能な医療・介護サービスの提供を支援します。
中国人材の活躍機会の創出
日本での就労機会を提供し、専門的なスキルや経験を積む場を提供します。帰国後、母国での医療・介護分野の発展にも貢献できます。
日中の医療・介護技術交流の促進
中国の医療・介護従事者が日本の高度な医療・介護技術を学ぶことで、将来的な日中間の医療協力を強化することができます。
多文化共生社会の実現
外国人労働者の受け入れを通じて、多様な価値観を尊重し、共生する社会を構築することにもつながります。
事業の具体的な実施内容
本協会は、日本の医療機関・介護施設と連携し、中国の人材を紹介・支援する以下の事業を展開します。
(1) 中国人材の発掘・募集
中国国内の看護・介護系大学、専門学校、職業訓練校と連携し、優秀な人材を発掘
日本での就業を希望する中国人看護師・介護福祉士候補者を募集
特定技能・技能実習・留学などの在留資格に応じた人材選定
(2) 研修・教育プログラムの提供
日本語教育:医療・介護現場で必要な日本語能力(N3〜N2レベル)の取得支援
介護技術・看護技術研修:日本の医療・介護基準に適応できるよう専門研修を実施
文化・生活指導:日本の職場文化や生活習慣についてのオリエンテーションを実施
(3) 日本の医療機関・介護施設へのマッチング
日本の医療機関・介護施設と協力し、人材採用ニーズに応じたマッチングを実施
施設側が求めるスキルや経験に応じて、適切な人材を紹介
(4) 就業後のフォローアップ
日本での就業開始後も、生活面・職場環境でのサポートを継続
必要に応じて追加研修や日本語支援を実施
相談窓口を設け、就労者が安心して働ける環境を提供
(5) 法的手続き・ビザ申請サポート
在留資格の取得・更新に関する手続きを支援
企業・施設側の受け入れに関する法的サポートを提供
期待される成果と今後の展望
本事業の実施により、以下のような成果が期待されます。
*医療・介護分野の人材不足を補い、持続可能な医療サービスを提供
*外国人材の活用を通じて、多様な価値観を受け入れる社会を形成
*日中間の医療協力が深化し、両国の医療技術や人材交流が活性化
*日本での経験を活かし、中国帰国後も医療・介護分野で活躍できる人材を輩出
今後は、政府の政策動向や介護・医療業界のニーズを注視しながら、より多くの中国人材が日本で活躍できる環境を整え、日中間の医療協力の架け橋となることを目指してまいります。